アメリカで見つけたMade in Japan -ハリケーンランプ Winged wheel-の話1

2022年11月2日

以前、こちらで書いたようにアメリカ生活の中で始めたビンテージ品収集ですが、その中の一つにWinged wheelのハリケーンランプがあります。
このWinged wheel、別所ランプさんという日本のメーカーで作られたハリケーンランプなのですが、今でも日本で唯一ハリケーンランプを製造されているメーカーになります。今は5代目の女性が引き継いで製造を続けられていて、情熱大陸などのTVでも取り上げられ、その人気ぶりからオーダーから数年待ちという状態のようです。(今現在は販売一時中止とのこと)

このWinged wheelを制作する別所ランプですが大正13年(1924年)から続く歴史ある会社で現在の社長が製造を再開する前には海外へも輸出されており、私はそちらをアメリカのアンティークショップやeBayなどで探し購入していました。遥か昔に日本で作られ、アメリカに輸出されアメリカで使用されていたものが、また日本の私の所にと思うと中々感慨深いです。
ビンテージ品のシンプルな色使いとやれた雰囲気が堪らないですが、現在製造されているNo. 500の洗練された色使いのモデル等見るとそちらも良いなと物欲が湧いてきます。かなり人気なようなので、現行品も中々手に入らなそうですが。

このWinged wheelのハリケーンランプですが、複数のモデルがあり私の知る限りNo. 350, 400, 500, 800, 1000, 2000, 3000など、様々なサイズ展開されていたようですが、金型が現存していて現在も生産できるのは500のみのようです。日本のオークションサイトなどを見ていると、1000, 2000, 3000などの大型のものも結構見られますが、アメリカでは一度も1000より多いサイズを見かけることは無かったので主に350, 400, 500の3モデルが当時輸出されていたのではと予想しています。別所ランプさんのHPを見ると、大体1935〜1978の40数年の間海外に輸出されていたようです。

Winged wheelのハリケーンランプ(左からNo.350, 400, 500)

各モデル、カンの形状や芯調整のホイール塗装の有無、タンク裏形状などの仕様により、大きく初期、中期、後期モデルと分けられるようですが、調べても細かい製造時期などの情報は見つけれませんでした。Assuaranceという車のコーティングをやられている会社HPの趣味の部屋で、winged wheelを紹介されておりそちらが1番細かい情報をまとめられているのでWinged wheelに興味がある方におススメです。

続いて、私の所有するWinged wheelをもとにもう少し細かく紹介していきたいと思います。
AssuaranceさんのHPを除き、ビンテージのWinged wheelについての情報は殆どネット上でも見つからないため少しでも皆さんの参考になればと思います。

No. 350

・3分芯(9mm)
・タンク容量 150cc (9時間)

すでに型が無くなっているようで残念ながら再度製造されることがない貴重なモデルで、小ぶりなサイズが使い勝手よくキャンプではサブとして活躍しています。
私の所有するNo.350の初期、中期、後期モデルを並べてみました。
一番左の初期モデルはご覧の通り外観の汚れもひどく、ホヤにもクラックが入ってしまっていたりとあまり状態が良くないのですが、どうしても初期モデルが一つ欲しくて購入してしまいました。いつか、塗装を剥がして素地剥き出しの渋い感じにカスタムしたいなと思っています。

簡単なモデルの見分け方としては、下記の部分があります。
・初期:カンが複雑形状、タンク裏に多重の○エンボス、ガラス上部部品の穴あき、芯調整ホイールがボデー同色塗装
・中期:カンの形状・タンク裏の○エンボスが簡素化、ガラス上部部品と芯調整ホイール色の使用は初期と同様
・後期:カン・タンク裏は中期と同仕様、ガラス上部部品から穴がなくなり、芯調整ホイールが無塗装に変更

Winged wheel No.350 初期、中期、後期比較

ただ、ここまでが中期、こっから後期のようにスパッと変更されていたわけではなく、徐々に変更が加えられていったのか、所有モデルの中にも中期から後期に移る途中のモデルもいくつかありました。下記写真の真ん中のモデルですが、ホヤ上部の部品には中期の特徴である穴がありますが、芯調整ホイールは後期仕様の無塗装のものに変わっています。
私は持っていませんが、もしかしたら初期から中期の間の仕様を持つものもあるのかもしれません。

Winged wheel No. 350 過渡期モデル

ちなみに真ん中の過渡期モデルはデッドストックですが、当時このようなタグがついて売られていたようです。
BESがメーカー名(別所 BESSOから)、WINGED WHEELがモデル名といったところでしょうか?
別所ランプの製造開始当時、ドイツのランタンを参考に作られたとの話がありますが、ドイツのFEUER HANDのタグと比較すると配色含めてかなり似ているのでWINGED WHEELはFEUER HANDのハリケーンランプを参考にし作られたのかなおと思っています。

タグ比較 WINGED WHEEL vs FEUER HAND

No.350が一番多くの数を所有しているので比較することができるのですが、今回紹介した以外にも細かい仕様差が存在するのでまた次回に続きます。